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札幌家庭裁判所 昭和50年(少)1929号 決定

少年 Y・Y(昭三〇・一〇・一四生)

主文

本件を札幌地方検察庁の検察官に送致する。

理由

(罪となるべき事実)

少年は

一  B(当二〇歳)、A(当二八歳)、H(当二一歳)他数名と共謀のうえ、昭和五〇年八月二一日午前〇時三〇分ころ札幌市中央区○○○×丁目×番地○日○業○式○社○○駐車場において、その直前仲間がやくざ者と喧嘩して負けたため相手のやくざ者を襲撃して火炎びんを投てきしようと企て、一升びん(容量一、八リットル)四本、サイダーびん(容量〇、三四リットル)一二・三本にガソリンを入れ布切れをびん口にさしこんでこれを点火装置として火炎びん合計一六・七本を製造し

二  B、A、H、D(当二〇歳)、F(当一八歳)ら一二名と共謀のうえ、前同様やくざに火炎びんを投てきしようと企て、同月二一日午前〇時五〇分ころ同区○○○×丁目無番地附近路上において、合計五台の普通乗用自動車の座席内に上記製造にかかる火炎びんを数本ずつ分散積載した上それぞれ分乗して(D所有の普通乗用自動車○××○××××を運転)上記火炎びんを所持し、もつて他人の身体に対し共同して害を加える目的をもつて兇器を準備して集合し

三  更にB、A、D、Fら数名と共謀のうえ、同日午前一時三九分ころ同区○×条○××丁目×番地の×札幌○○警察署○×条○派出所前路上において、同所に駐車中の北海道警察本部○田○雄○管理にかかる警察用無線自動車をめがけて、走行中のA運転の普通乗用自動車からBにおいて上記火炎びん一本を点火したうえ投げつけ、次いで少年運転の普通乗用自動車からD、Fにおいてそれぞれ火炎びん各一本ずつを未点火のまま投げつけ、各火炎びんを破裂炎上させ、上記無線自動車の前部フェンダー、右側ウインカー、フェンダーミラー、ステップモールなどを焼毀破損させ、もつて火炎びんを使用して人の財産に危険を生じさせると共に数人共同して他人の器物を損壊し

たものである。

(罰条)

火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反 同法二条、三条一項

兇器準備集合 刑法二〇八条の二

暴力行為等処罰に関する法律違反 同法一条

少年にはこれまで非行もなく特に問題とすべき性格のかたよりも認められず本件非行もいわばその場の雰囲気にのまれて進んでしまつたものと解されるけれども本件非行の罪質、態様、少年の言動が本件非行において果した役割、少年の年齢、他の共犯者に対する処分との比較等諸般の情況を考慮すると本件は刑事処分に付すを相当と認める。

よつて少年法二〇条二三条を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 丹宗朝子)

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